ハッピークライシス


じらすような手付きで、腰から太股、そして足の付け根へと左手を滑らせる。
丈の短い真っ赤なサテンのドレスの裾がまくれあがり、黒のレースが覗く。ユエはにこりと笑みを浮かべ、それを貼り付けたまま、無遠慮に下着を剥ぎ取った。


「あんたがその顔する時って、大抵碌なこと考えてないわよね」


ピアニストのような指が、無防備な部分を掻き乱す。聞き苦しい自身の水音に耳を塞いでしまいたい衝動に駆られる。思わず腕を動かそうとすれば、ユエは"何を今更照れてるんだ"と言って、這うだけだった指をつぷりとナカに突き入れた。


「…っぁ」

「その押し殺したような声、好きだな。無理矢理にでも、引きずりだしたくなる」

「この、…サディスト!ひ……ああ、っ!」


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