この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 「あ」



 声をあげて、兄さまは空を見上げる。

 つられて私も空を見上げた。



 空からは ちらりちらりと、雪が舞い落ちる。


 雲の切れ間からは青空が見え、光りが帯状に差し込む。



 ふわりと舞う綿毛のような雪に光が反射して、キラキラと光るその光景に私は目を奪われた。



 「……風花?」



 思わずつぶやくと、振り返った兄さまがやさしく笑う。



 名残り雪かもしれない。






 ――――もうすぐ 春が来る。



 桃の花 桜の花が開き、心 踊らせる季節が。



 けれども今年の兄さま達は、別のことで心を踊らせることになる。






 そして。



 私達は まだ知らないのだ。



 雄介さまの 死が、

 鳥羽・伏見の戦いで散った たくさんの命が、

 まだほんの 序章に過ぎなかったことを。





 これから起こる 惨劇を、

 会津藩のたどる末路を。



 誰が 想像できただろうか。






 ――――暗雲は、すぐそこまで 迫ってきていた。





< 227 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop