この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 空を仰ぐすみ子さまの微笑みは、きっと悌次郎さまの笑顔を思い起こしてのことでしょう。


 私も初陣の出立時にお見かけした、生き生きと誇らしげに輝いている悌次郎さまのお顔を思い出していた。


 あの笑顔のために。
 すみ子さまは強くなろうと心に決めたのですか……?



 ――― 守りたいもの ―――



 私が 守りたいもの。


 利勝さまの決意。

 兄さまの笑顔。

 家族。お友達。そしてまわりの人達。

 みんなの幸せと笑顔。


 そしてこの会津の豊かな自然と、

 みんながいて当たり前だった、ささやかに過ぎてゆく平穏な毎日。


 たくさん たくさん、守りたいものがある。



 (けれど、そのすべてを守ることなんて、こんなちっぽけな私には到底無理なことだわ)


 「そんなに気負わないで。まずは自分ができることを探すの。
 大事なのは、そうありたいと強く願うことよ」



 自然 肩に力が入っていた私の心をほぐすように、すみ子さまが背中をさすってくださった。



 「あ……ありがとうございます」

 「どういたしまして」



 すみ子さまの柔らかな笑顔に、私もつられて目を細める。



 「大丈夫。きっともうすぐ、あの子達は帰ってくるわ」



 すみ子さまは、そう元気づけてくださった。


 そのすべてを優しく包んでくれるかのような笑顔に、少し心が救われた気がした。


 今日 すみ子さまにお会いできたことを、心の底から天に感謝した。


< 270 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop