この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 ――――考えてみれば。思いあたる節がいくつもあった。



 『行ってこい』。



 その言葉も、幾度耳にしただろう。



 兄さまはとっくに私の気持ちなんかご存知で、そのうえで利勝さまのところへ向かわせてくれてたんだ。





 ………兄さま。



 恋などすれば、己が傷つき泣くことになると、そうおっしゃっていたはずなのに。



 それでも、私の叶わぬ恋を応援してくれていたのですか………?



 今さらながら兄さまの心遣いに胸がジンと熱くなる。



 私はいつも、柔らかな陽だまりみたいな兄さまの優しさに包まれている。



 それとも もうこの恋は、期限付きの恋だから………?



 だから それまでのあいだ、少しでも私に希望を与えようとしてくれてるの………?





 出陣命令が下ったら。

 あの人はもう帰ってこない。



 ああ でも、たとえそうだとしても。

 それでも、もういいの。



 もうわかったの。



 私は この恋を消すことなんてできない。

 この気持ちを隠せない。



 なら いっそのこと。



 叶わなくて いい。この想いを伝えたい。



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