この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
それを私の前に差し出して、いつものようにおっしゃる。
「拭けよ。ひどい顔だ」
何度も言われた言葉。それさえ大切な宝物。
私は首を振って、手の甲でごしごし涙を拭った。
「それは利勝さまが持っていてください。
私の代わりに役立つよう、戦地へお連れください」
そう言って無理に笑うと、利勝さまも頷いて、手拭いを懐へとしまう。
今日という日に、あの手拭いを持っていてくれたことがうれしい。
どうか私の代わりに、利勝さまのそばにいて。
「……利勝さま。私もお願いがあります」
涙を振り払い、その愛しい瞳をまっすぐに見つめる。
「万が一でいいのです。万が一、お命を拾うことができたなら。
その時は、それを恥と思わず、どうか大切になさってください。
そして この戦乱が終わったら。
たとえ私がどこにいても、探しだして会いにきてください」
『生き永らえる気はさらさらない』。
そう言われて、断られるのを覚悟で伝えた。
けれど ほんのわずかでもいい。
生き続ける希望が欲しい。
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