この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「母上!俺…いや私は、これから友人と出かける約束が……!」
「遅れて行けばいいでしょう?それにおゆきさんは、お前のお友達の八十治さんの妹さんだそうじゃない」
焦る利勝さまの抗弁を、くら子さまはやんわりとかわす。
ぐっと言葉に詰まる利勝さまは、のどが苦しいような声で唸った。
「……それは、そうですが……」
利勝さまは憮然とする。
その横目でチラッと私を見る。
「……姉上が送ればいいだろ?」
「私はお屋敷を知らないもの」
口を尖らす弟君に、優越そうにフフンと笑うさき子さま。
そんな姉君を睨んで、利勝さまは「くそっ」と小声で吐き捨てた。
……利勝さまも、姉君には敵わないらしい。
「あらぁ?どの口がそんな悪い言葉を言ったのかしら〜?」
ニヤリと笑いながら覗き込むさき子さまから顔を背けて、
「……わかりました!」
ふてくされて、さも嫌そうに承知してから私のほうを向くと、
「早く食べてしまえ。食べたら行くぞ!」
そうぶっきらぼうにおっしゃると、荷物を置きに自室へと向かわれた。
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