この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「ごめんなさいね。あの子がずいぶん尊大な口をきいて」
利勝さまが行ってしまったあとで、くら子さまがそう詫びて下さった。
「い、いえ!滅相もございません!気にしてませんから!ご安心ください!」
顔と両手を同時に振ってあわてる私を見つめながら、くら子さまは苦笑されつつも、短くため息を落とした。
「雄治はね、家の者以外の女子と口をきいたことがあまりないのよ。
だから年の近い娘さんには、どうしてもさき子に対する口調と同じになってしまって……」
―――『雄治』。
「あの……あの方が、兄のご友人の雄治さま…ですか?さき子さまの弟君の?」
「ええ、そうだけれど?」
おずおずと訊ねる私に、おふたりはそろって頷く。
やっぱり、あの方の本当の名は、『雄治』さまとおっしゃるのだわ。
じゃあ、どうして私に『利勝』だなんて嘘を………?
―――もしかして。もう二度と会うつもりがないから、偽りの名を告げた………?
そんな考えに至って、頭がクラリとした。
そんな………!
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