この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
ふと、男の子が振り返る。
私とだいぶ離れたことに気づいて、「遅い!」とばかりに眉をひそめる。
それでも男の子は、その場で立ち止まって待っていてくれた。
私は一生懸命 足を動かす。
ピョコピョコと歩く変な歩き方を見られて、本当は恥ずかしくて泣きたい思いだったけれど。
こんな足を見て、あの子がどう思うだろうかと不安だったけれど。
そんなこと 言っていられない。
早く帰らないと。みんなが心配している。
何とか足を動かし、そしてやっとその距離は、男の子に手が届くほどに縮まった。
急いだので 息が上がった私を、腕組みして待っていた男の子は、口を真一文字に結んでジッと見つめたまま。
後ろはお寺だろうか。
男の子の背中で、境内から顔を覗かせた竹林の笹の葉が、サワサワと揺れている。
その様子が、足が悪いのだと知った男の子の心情を表しているかのように思えた。
「……行くぞ」
そう素っ気なく言って、男の子は前を向くと、また歩き始める。
………てっきり、足のことを言われると思ったのに。
この人。親切なんだか いじわるなんだか、わからない。
でも。
再び歩き出した その歩調は、さっきの歩みより驚くほど ゆるやかで。
思わぬ優しさに、私はただ 唖然とした。
不思議な気持ちで、ゆっくりと揺れる、その背中を見つめる………。