この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 「何を()って……?」



 考えをめぐらせながら、兄さまの瞳が揺れる。



 「はい。お殿さまのため、お国のためにお役に立ちたいお気持ちはよく存じております。

 けれど それだけではないはずです。

 利勝さまは兄上さまの仇討ちのため、悌次郎さまはご同友と共に戦いたいと望んでおられます。

 兄さまのそれは、何なのですか?ゆきはそれをお(うかが)いしておきたいのです」



 このご時世だから仕方ない。

 そんな一言で、戦場へ行ってほしくないの。



 戦う意義があるからこそ、激を飛ばして大切な人達を送り出してあげたい。



 ご自分の選んだ道を、けして後悔してほしくないから。





 「……俺は」



 兄さまの口が開く。



 「俺には、(おのれ)の命より大切なものがある」



 そうおっしゃって私を見つめる兄さまの瞳は、迷いがなくまっすぐで。


 曇ったところがひとつもない、澄んだ輝きを放っていた。


< 288 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop