この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 「……嘆願書のこと、兄さまからうかがいました。
 おめでとうございます。これでいつでも出陣できるのですね」

 「……ああ」



 利勝さまは一度驚いたように眉間を緩めるも、またそれを不機嫌に寄せて頷いた。



 「……えっと、あの……」



 (どうしよう……言葉が続かない)



 けれど。



 もう 会えないかもしれない。

 それなら今、一番伝えたいことはなんだろう。




 ――――私の想い。




 これだけはどうしても、 利勝さまに知っておいてほしいから。


 顔をあげる。まっすぐに利勝さまを見つめる。



 (利勝さま。とてもとても、恋しい人……)



 あなたに この想いを伝えたい。



 「……利勝さま。ご武運をお祈りしております。
 どうか お心の思うままに。
 その時がきたら、悔いのなきよう存分にお力を振るってください。
 そしてお殿さまのため、お国のために死力を尽くして戦ってください。
 利勝さまの本懐が叶ったなら。
 私もそれを自分の幸せと思い、喜びますから」



 ――――言えた。



 安堵の息をつくと、つい笑顔になる。



 これが私の心からの願い。
 利勝さまが、ご自身の望みを果たせますように。


 それを願うのは、あなただけじゃない。
 私も一緒に願っているから。


 戦場で、死ととなり合わせで利勝さまが戦っているとき、私の願いも傍らに置いていてほしいから。


 だからこれだけは、どうしても伝えたかった。



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