この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
利勝さまは、大きな瞳で私を見つめる。
その表情は困惑している。
理由はわかってるの。
利勝さまが嫌がることを、私がまた言ってしまったから。
けれども私は、胸のつかえがとれたような、清々しい気持ちで息をついた。
「いざ命令が下った時に、挨拶ができぬやもしれませんので。
だからそれだけお伝えしに参ったのです。
用が済みましたので、私はこれで失礼いたします」
笑顔を湛えたまま、頭を下げた。
利勝さまは何もおっしゃらない。
けれど それでいい。
想いさえ伝わってくれれば、それで。
顔をあげると、利勝さまのお姿をこの目に焼きつける。
――――私を見る時の、不機嫌そうな表情。
とうとう変わらなかったな。
(でもこのお顔も、とてもとても好きだった)
刻みつけたその姿を、たくさんの宝物とともに胸の中にしまい込む。
これでもう悔いはない。
私はもう一度軽くお辞儀をすると、くるりと背を向けて門へ歩きだした。
.