この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
母さまはまた厳しい顔に戻られて、武家の母らしい毅然とした態度でおっしゃった。
「さあ……見送りはここまでです。もうお行きなさい。
私も、ひとたび門を出れば、もうお前は帰らぬものと承知します。
生を重んじず、死を怖れずにして、全力を尽くし戦いなさい」
「承知しております。それでは継母上。行って参ります!」
兄さまが 今までの感謝を込めるように、深々とお辞儀をすると、母さまは一度強く頷き、それから口元を押さえて屋敷の奥へと消えました。
母さまには、それが限界だったのでしょう。
「………継母上は、俺の母によく似ている」
残された私に、兄さまはぽつりと漏らす。
その表情は、亡きご母堂さまへの慕情を思い出しているかに見えた。
「心に添うように穏やかで、それでいて毅然としてて。
けれど、いつもどこか俺にすまなそうな顔をする。
病床に臥した母も、よくそんな顔をしていた。涙脆いところもそっくりだ。
……だからかな。俺は継母上を、本当の母と同じように慕っていた」
そう おっしゃって、私を振り向く。
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