この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
利勝さまは立ち上がると、照れ隠しなのか口を尖らせる。
「そうじゃない。今しがた諏方神社前にある日向 内記隊長のお屋敷へ寄ってきたんだ。
正午などと言わず、早く出陣するよう催促してきた。
ここに来たのは、隊長の家からそんなに遠くなかったから。ついでに八十を迎えに来たんだよ」
「素直じゃないな。城とは逆方向だってのに」
兄さまは苦笑する。
けれどそんなことどうでもいい。
ついででも いいの。あなたと会えただけで。
私はこのわずかな時間に、利勝さまのお姿を お顔を、目に胸に焼きつける。
ほんの一瞬たりとも、目をそらしたくない。
最後かもしれないという恐怖感が、この与えられた時間の中、釘づけになって利勝さまのお姿を見つめさせる。
そんな私の目に、あなたが来た時から鮮やかに映る色がある。
それは―――――。
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