この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜



 兄さまも利勝さまに近づくと、まじまじと見つめておっしゃった。



 「へえ……それがお前の話してた、草色の軍服か」


 「ああ。山野を駆け回るなら、黒い軍服より草色のほうがいいだろうと思ってな。
 敵の目を(あざむ)いて、いい働きができるように。
 母上に頼んで、この日のために仕立ててもらったんだ」



 そう、それは―――草色。



 なるほどたしかに初陣の時とは違い、今回 利勝さまは、上衣だけ草色の軍服を着ていた。

 他は兄さまとほぼ同じ。

 腰に巻いた白木綿の帯も、額の白鉢巻きも鮮やかに輝き、下はダンぶくろではなく義経袴に脚半姿。

 身体には大きすぎる大刀も、肩から革で下げている。


 私には文句のつけようがない、利勝さまの凛々しい若武者姿。


 ………ふと、思う。

 そういえば 利勝さまはいつも、草の匂いをまとっておられたっけ。

 草木の中に潜むなら草色。

 そんな発想をするところも利勝さまらしく思えて、不安に支配されていた心が、いつのまにか軽くなる。


 不思議と私の口元に、自然な笑みが浮かんだ。


 そのお姿を誇りに思い見つめ続けていると、兄さまのとなりにいた利勝さまが、私の目の前まで進み出てくださった。



< 319 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop