この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜





 私達は 見つめあう。



 互いの姿を、心に刻むように。

 あまりにも早過ぎる別れを惜しむように。



 ――――悔いは ない。



 私 この人を好きになってよかった。
 この気持ちを持ち続けてよかった。

 伝えたいのは 感謝の心。


 あなたに出会えた

 あなたに恋した

 ほんの少しのあいだでも、心を重ねることができた


 それはすべて、あなたがいてくれたから。

 この世に生まれて、生きてきてくれたから。



 「……こちらに寄っていただけて、本当に助かりました。
 きっと私の足では、ご挨拶に行くことも叶いませんでした」



 私が微笑むと、利勝さまも目を細めてくれる。



 「城下は避難する町人達でごった返してる。
 この混乱の中じゃ、お前も来れぬだろうと思ってな」



 それで、会いにきてくれたのですか?



 「……利勝さま。ありがとうございます。
 利勝さまがいてくださってよかった。
 ゆきは今、感謝の気持ちしかございません。

 どうか ご武運を。とうとう願いが叶うのですから。

 その草色の軍服に恥じないお働きをしてください。
 ゆきもここから、それを祈っております」



 心の底から 笑顔になれる。



 『笑顔を見せてくれ』。



 あなたがそう望んでくれるなら。



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