この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「そういえば源七郎、お前にもたしか許婚がいたよな?」
その言葉を受けて、その場にいた皆がいっせいに注視する。
皆の視線を受けた間瀬 源七郎どのは、君の小姓をしていたほどの端麗だとうわさ高いその顔に、戸惑う表情を浮かべながらも頷いた。
「……ああ。まあな」
「別れの挨拶はしたのか?」
「もちろんだ」
家が近くて簗瀬どのや野村どのと親しい西川どのが、声音を落として訊ねる。
「……泣かれただろう?」
間瀬どのは、すぐさま首を振って否定した。
「いや、気丈に送り出してくれたよ」
「それで、許婚どのは何て言ってた?」
簗瀬どのが尋ねると、間瀬どのは少し間をあけてから静かにつぶやいた。
「……いつまでも。いつまでも俺の帰りを待ってるって」
辺りがシンと静まりかえる。
どう 声をかけていいか、わからなかった。
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