この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
いきなり輪の中にいた俊彦が、すっくと立ち上がった。
「おい俊彦、どうした?」
「ん。なに、小用だ」
そう言って、俊彦は輪の中から外れる。
―――この時なぜか、俊彦のことが気になった。
俊彦の様子がおかしい。
奴はさっきの話でも笑ってはいなかった。
「待てよ、俊彦。俺も行く」
声をかけて立ち上がり、俊彦のあとに続いた。
雨はどこまでも止む気配がない。
それどころか、遠くでゴロゴロという音もする。
雨雲はとうとう、雷雲まで連れてきたようだ。
「………雨。なかなか止んでくれないな」
「そうだな」
降りしきる雨のなか、ふたりで濡れた湿原を歩きながら、俺と俊彦はぽつりぽつりと言葉を交わす。
俊彦は明らかに元気がないように見えた。
(先程の話で、別れがたい相手でも思い出したか……?)
「なあ、お前どうした?さっきから変だぞ?」
俺がそう声をかけると、俊彦は以外そうな顔を向ける。
「いや、別に。緊張しているせいだろ」
「そうか?……ならいいが」
ただの気のせいだったかと、安堵の息をつく。
だが俊彦は前を向くと、またぽつりとつぶやいた。
「……知らなかったよ。永瀬とゆきどのが、そんな親しい仲だったなんて」
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