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白無垢を身に纏い、
晴れやかにしつらえた部屋で一人
わたしは震える手を握りしめていた。
この婚礼は、傾きかけた実家の料亭を救うため。
相手は昔から苦手な男
(覚悟を決めたから戻ってきたんでしょう、
寿々那……)
そう自分に言い聞かせても
震えは一向に収まらない。
せめてもの救いは、
わたしの「初めて」が
この男のものではないこと。
ロンドンの最後の夜に、
自分が選んだ相手に捧げてきたのだから。
あの夜の思い出さえあれば、
これから幾度も続くだろう
苦痛の夜にも耐えられる。
そう思っていたのに―――
******
森 寿々那(もり すずな)25歳
老舗料亭【森乃や】の長女
実家料亭の危機を救うため
苦手な相手との結婚を受け入れ
ロンドンから帰国した
×
香月 祥(かつき しょう)34歳
寿々那がロンドンの最後の夜に出逢った男性
実は大ホテルチェーン【香月リゾート】の社長
若きホテル王
******
『出来る限り優しくしよう』
『ひどくしてください。優しくなんて…しないで』
『わたしの初めてを……手ひどく奪ってくださいっ』
『覚悟はあるんだな』
『お望み通り、ひどく奪ってやろう』
あの夜あなたが奪ったのは
わたしの「初めて」だけじゃなかったの―――?
☆★☆★Special Thanks☆★☆★
arancia様
さとみっち様
レビューありがとうございます!
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※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、
実在のものとは関係ありません。
2021/12/20 Start → 2021/12/23 Finished
- あらすじ
ロンドンのハーブ農園で働いていた寿々那(25)は、実家の老舗料亭の危機を救う政略婚のため帰国した。結婚相手は昔から生理的嫌悪感を抱いている男で、寿々那は逃げ出したいほど嫌でたまらない気持ちを必死にこらえていた。
白無垢を纏い、これから婚礼――という時になって寿々那の前に突然一人の男が現れる。背が高く精悍な顔立ちのそのひとは、寿々那がロンドン最後の夜に一夜を過ごした祥という男性で―――。