私は人形―――。

有名政治家の一人娘である私は、父に言われるがまま生き育てられてきた自分を貶めたくて、一夜の過ちを犯す。


「そんなに汚れたいのなら、俺が染めてあげる」


私を誘ったのは、魅惑に溢れた夜の街の男―――。



たった一夜だけの人なのに、その声も動きも美貌も頭に焼き付いて、忘れることができない。

名前も知らない人に、こんなにも惹かれてしまうなんて…。



もう二度と会うことはない。

そう思っていたのに、けれども彼は、再び私の前に現れた。

あの夜とは、まったく違った姿で。


「ぜひあなたに従業員教育に役立てるためのお話をお聞きしたかった。あなたはとても綺麗で洗練されている。―――でも、夜はひどくふしだらになるんですね」


上質の着物を着こなす貴公子そのものの男性。

日本を代表する企業、綾部ホールディングスの跡取り、波多野雅己(はたのまさき)として。


「君は俺を不埒な男だと思っているかもしれないが、俺からしたら君の方が不埒だ。―――こんなに夢中にさせておいて勝手に消えて、俺を失望させて―――」

「言ったはずだ。『けして君を離さない』と。あの夜、何度も何度も、ベッドの上で告げたよね」

「君が今の自分から脱するサポートをしよう。もちろん、見返りは求めるよ。君を口説くことをね…」





波多野雅己(26歳)
日本文化の守り手と称される一流企業の跡取り

×

岸芽衣子(23歳)
大和撫子として育てられた箱入り令嬢





魅惑の御曹司からの熱く一途な溺愛に、不遇な令嬢の孤独な心は、甘く甘く満たされる―――。


Start 2021/7/14
End 2021/9/15


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