あの「神風」は神風ではなかった──という、
衝撃の事実…。
日本史上最大の国難・元寇。
この滅亡の危機に、
頭脳と勇気で立ち向かった
一人の武士があった。
その武士の名は、二階堂行藤。
エリート武士の御曹司でありながらも
出世コースから外れ、六波羅探題の配下の
平凡な武士に過ぎなかった。
ある日、
久我大納言の血を引く
という娘・藤子(とうこ)と出会い、
夫婦(めおと)となる。
そこへ新たに六波羅へやって来た北条時輔や、
仲間の一条家経らとの平和な日々は、
突然の国書の到着によって、
一気に国論を二分する情勢へと
巻き込まれて行く…。
遅咲きの武士・二階堂行藤と藤子、
その周囲の人々を中心に、
戦乱と混迷の時代を自らの手で
切り開いてゆこうとする、
絆とドラマを描く長篇歴史小説。
目次
- 仮名序──「行藤記」より──
- 第一部 六波羅の巻
- 1 六波羅の乱闘
- 2 二階堂の御曹司
- 3 再会の日
- 4 波乱の婚礼
- 5 兆候
- 6 親王失脚
- 7 異国の跫音(あしおと)
- 8 国書、鎌倉へ至る
- 9 返牒せず
- 10 三別抄の叛乱
- 11 和議か、合戦か
- 12 二月騒動
- 13 蠢動(しゅんどう)
- 14 武士の条件
- 第二部 博多の巻
- 1 蹂躙(じゅうりん)の日
- 2 博多炎上
- 3 まぼろしの武勲
- 4 奇異の強者(つわもの)
- 5 さらば六波羅
- 6 父と子と
- 7 進むべき道
- 8 決断の時
- 9 出征
- 10 六波羅の知恵袋
- 11 新しき戦い
- 12 河野の後築地(うしろついじ)
- 13 壱岐の海戦
- 14 島津の釣り野伏せ
- 15 雲を裂く
- 第三部 鎌倉の巻
- 1 ほころびの始まり
- 2 椀飯(おうはん)の儀
- 3 楠木の入道殿
- 4 朱(あか)の疑惑
- 5 衝撃の日
- 6 突然の解任
- 7 予期せぬ再会
- 8 対立
- 9 一縷(いちる)の希望
- 10 頼綱と泰盛
- 11 霜月の乱
- 12 戦役の代償
- 13 遥任(ようにん)
- 14 為政者の孤独
- 最終部 擾乱の巻
- 1 正応事件
- 2 喧嘩両成敗
- 3 二人連署
- 4 正応の大地震
- 5 頼綱を討て
- 6 奇怪なる合戦
- 7 神々のたそがれ